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英国の成人の半数以上が貯金1万5000円以下!?
↑画像:BBC Onlineより、キャプチャー画面。
From Hanako in London:
「1,600万人以上のイギリス人が、貯金100ポンド以下!?」
ニュースのネタ元:BBCオンライン版
発行日:2016年9月27日
BBCのサイトにこんな記事を見つけ、仰天しました。「CICA社がMoney Advice Service社の委託を受けて行った調査によると、イギリスに暮らす約4,800万人の成人(adult)の内、1,600万人以上の人が貯金額が100ポンド(現在のレートで1万3,500円)以下である」とのこと。
1/3以上の人が貯蓄が1万5,000円もない!?という驚きの結果です。(イギリスの地域ごとの数値はコチラから)
現地感覚としては1ポンド=100円ですので、100ポンドは1万円ぐらいの感覚。
つまり貯蓄が(現地感覚で)1万円以下って…! 少なすぎやしませんか?
でも…ロンドンに住んでいると「イギリス人は貯金をしない」ことは肌で感じます。
イギリス人には「資産=持ち家」という感覚が強くあります。特にロンドンに暮らす人にその傾向が強いのは、ロンドンは家の値段が下がらないため「家さえ持ってれば特に貯金をしなくてもいい」「家の値段が自然に上がってくれるので資産額が増える」という”今のところは成立しているけれど今後のことは誰も分からない”魔法のようなシステムが存在するからなのです。
EU離脱が決定し、一時的には家の値段が下がるか?とも言われていますが、現在の所は海外の大金持ちが投資のために買っているような高額物件以外では特に家の値段が下がっている様子もありません(この辺のことは、コスモポリタン日本版「ロンドンで家を買う」の第3話に書きましたので読んで下さると嬉しいです)。
つまり「貯金が1万円以下でも、資産があるからいい」と考えている人が多いという事なのだと思います。
では「家に投資」する以外のお金を貯金をせずに何に使うのか?
ホリデーです。休暇中にバンバン旅行をするのです。
イギリス人は休暇がないと生きられません。夏休みはもちろん、四季折々休暇を取りますが「家でのんびりする」なんて休暇はほぼありえあせん。絶対旅行に行きますし、多くの人が海外旅行に行きます(とはいえ、EU内の場合は『海外』という感覚はほぼなのですが)。子どもがいたりするとお金がかなり掛かるはずなのですが、でも必ず行きます。それが生きがいだからです。
「住宅ローンさえ払っていければ資産は増えるのだから、給料は全てホリデーに注ぎ込む」そういう人が多いのです。
そして(ホリデーに較べたら小さいことかもしれませんが)外食にもお金を使います。洒落たレストランは決して安くありませんが、でも本当に予約が取れない。お高い星付きのお店も、ランチもディナーもいつもいっぱいです。イギリスは物価が高く、かつそこそこのお店であれば12.5%のサービス料金も加算されますから「(星付きではないけど)まあまあレベル」のレストランに行って、お酒つきでご飯を食べたら超円高の現在のレートでも1人1万円ぐらいは掛かります。でもロンドンのレストラン状況を見る限り、人気のレストランは平日でもいっぱいです。
しかし…ここで矛盾があります。どんどん不動産の値段が高くなるため若い世代が家を買えない(家を買うための頭金が貯まらない)という状況は社会問題になっています。30代、40代の「イギリスでは1軒目を既に購入しているはずの世代」の人たちと話をするとき、「高すぎて家が買えない」の話はよく出ます。
でもこの世代の人たちこそ、精力的にホリデーに出掛け、外食産業の繁栄を支えている人たちです。
つまり家を持っていなくてもホリデーや外食を楽しむという「イギリスの習慣」は変えない→「資産もないけど貯金もしない」人たちも増えているのではないでしょうか?
となると問題は根深くなっていくような気がします。
日本同様格差社会はイギリスでも問題です。この国には本当にお金持ちがたくさん住んでいますが、そういう方は必ず不動産もたくさん持ち、それをうまく運用してさらにお金を増やしています。
でもそうでない人たちもライフスタイルを変えないゆえの結果が「貯金100ポンド以下」なのかもしれません。問題は多々あっても「本当に困ったら国が助けてくれる」という安心感がまだわずかに生きていること、そして生活における優先順位が「楽しむこと」であるヨーロッパ的な意識が垣間見える…そんなニュースでした。
===
さて、そんなイギリスに10年以上イギリスに住んでいるワタクシですが…このニュースを見て「絶対イギリス人になれない」と思いました。ホリデーには全然行かないですし、10ポンド単位ですぐ定期預金に放り込んでしまう<小さい>ワタクシ(笑)。多少イギリス人を見習って大きく構えていた方がいいのかもしれないですね。
From Hanako in London

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